京都の中で煎茶の産地として最も評価の高い宇治・和束。丹念に生産されたやぶきたストレートの煎茶は、やぶきた品種に特有の男性的な香りとやや強めの旨味の中に、控えめな渋味と苦味がバランスし、京都の緑茶らしい柔らかい風味の煎茶として仕上がっています。宇治・和束産の高級煎茶を代表する逸品です。

和束は町の中心に和束川が流れ、周囲に広がる標高200〜400mの丘陵地帯では、山裾から山頂まで全て茶畑で覆われています。整然とした茶畑の景観からは、高い生産技術が継承されていることが容易に見て取れます。数ある茶産地の中でも、和束は収穫と手入れのために、一年を通して最も多く剪定管理を行うことで知られています。

宇治の緑茶生産は日本の中で最も歴史が有り、緑茶の主な製茶技術はこの地域から生まれ発展しました。特に世界に類を見ない茶の蒸し製法が開発されたことで、煎茶をはじめ玉露や抹茶などが有する日本茶独自の風味が生み出されたのです。和束のなかでも石寺と釜塚は、特に優れた産地として知られています。

日本の在来種から選抜されたやぶきたは、現在、国内生産の約７５％を占める総合的に最も優れた茶品種。濃厚な旨味、適度な渋味と苦味がバランスした風味と、優雅な香りが特徴です。

和束産緑茶の高い品質は、生育から製茶まで一貫した高い技術に支えられています。生育管理に始まり、収穫前の覆い下栽培、丁寧なハサミ収穫を行います、そして仕上げの火入と呼ばれる最後の乾燥では、複数の火入れ器を使い分けながら、新鮮な茶葉の香りを損なわないよう、最低限の加熱に留めて仕上げられます。