京都煎茶の優良産地宇治・和束で成育された第一級のやぶきたをベースに、同じく和束産のめいりょく、さやまかおり、をアクセントとしてブレンドした煎茶は、やぶきたの強い香りと旨味に、めいりょくの柔らかい甘味と、さやまかおり独特の香りと渋味を組合せた、バランスのとれた味わいが楽しめる一品です。

和束は町の中心に和束川が流れ、周囲に広がる標高200〜400mの丘陵地帯では、山裾から山頂まで全て茶畑で覆われています。整然とした茶畑の景観からは、高い生産技術が継承されていることが容易に見て取れます。数ある茶産地の中でも、和束は収穫と手入れのために、一年を通して最も多く剪定管理を行うことで知られています。

宇治の緑茶生産は日本の中で最も歴史が有り、緑茶の主な製茶技術はこの地域から生まれ発展しました。特に世界に類を見ない茶の蒸し製法が開発されたことで、煎茶をはじめ玉露や抹茶などが有する日本茶独自の風味が生み出されたのです。

やぶきた ７０％　めいりょく ２０％　さやまかおり １０％

ブレンドの一般的な目的は、一定期間に渡る量産化を実現するための風味の均質化にあります。対照的に、この煎茶のブレンドのように、単一品種だけでは実現できない複雑な風味のバランスを追求する目的で行われることもあります。緑茶も農産物である以上、風味や品質のバラつきから逃れることが出来ません。しかしそのバラつきを個性と肯定的に捉えて慎重に組合せることで、バランスがとれた複雑な風味を実現することが可能となります。

和束産緑茶の高い品質は、生育から製茶まで一貫した高い技術に支えられています。生育管理に始まり、収穫前の覆い下栽培、丁寧なハサミ収穫を行います、そして仕上げの火入と呼ばれる最後の乾燥では、複数の火入れ器を使い分けながら、新鮮な茶葉の香りを損なわないよう、最低限の加熱に留めて仕上げられます。