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“市中山居”
茶の湯 草庵と庭

“市中山居” 茶の湯 草庵と庭 千利休が目指した「侘び茶」の具現化

茶会を開き客をもてなす場所は、室町時代の書院作りと言われるやや重々しい印象の、伝統的な建築空間から始まった。後に、千利休が「侘び茶」のあり方を具現化するため生み出した「草庵」と呼ばれる小さく簡素な空間へと移り変わり、現在に続く多くの茶室の原形となった。利休の意匠はこの草庵の室内に留まらず、周囲を取り囲む屋外に、奥深い山の中を思わせる自然な庭を演出したことにも大きな特徴がある。

草庵は市中にあるのだが、その茶室へと続く路地と呼ばれる小道を分け入ってゆくと。周囲には緑が生い茂り、山の中に迷い込んだ錯覚に捕らわれる。静けさが漂う庭の奥に小さな家・草庵が配され、ここで客をもてなす。亭主と客、この時だけは非日常世界の住人となり、一服の茶を介しながら心を静かに開いて時を過ごす。”茶の湯の草庵と庭”は、茶人・千利休が目指した禅的な「侘び茶」の具現化だった。

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“浮世の外の道”

瞑想に導くものとして設けられた禅の庭の静寂世界に、 日常から非日常へと入り込んでゆく境地を得ようという考えから茶庭の路地は造られる。禅的な理想郷である深山幽谷への道は数十歩の路地に凝縮され、その気分転換のための創意に満ちた空間を通過すると、そこは深山の仙境に比すべき別天地なのである。この山居の理想郷に至る道を、利休は「浮世の外の道」と称した。弟子からこの路地の作り方を尋ねられた時、利休は西行の歌で答えた。

「樫の葉のもみじぬかりにちりつもる奥山寺の道のさびしさ。」西行

山寺への道を辿る心境を「侘び」の境地とした。この考察は茶の湯の基本的な精神の一つであり、市中に居ながらにして、心は深山幽谷の世界に有ることを表している。

関連項目
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